この記事の要点

  • EVはモーターの大きなトルクで、重い荷物や坂道、発進の力強さは得意です。
  • 日常の積載なら問題は小さい一方、トレーラーけん引では航続距離が半分ほどに落ちることがあります。
  • 「力はあるが、距離は割り引く」と考え、用途ごとに向き不向きを分けて判断するのが現実的です。

EVで重い荷物を運べるのか、トレーラーをけん引できるのかは、「力」と「距離」を分けて考えると分かりやすくなります。EVは力がないのではありません。むしろ発進から大きな力を出せます。

一方で、重い荷物やトレーラーを引くと電気の消費が増え、走れる距離は短くなります。日常の荷物なら気にしすぎる必要はありませんが、本格的なけん引では充電計画が重要になります。

力はむしろ得意

モーターは、動き出した瞬間から大きなトルクを出せます。エンジン車のように回転数を上げて力を出す必要がないため、重い荷物を積んだ発進や坂道で余裕を感じやすいのが特徴です。

海外の大型EVピックアップには、強いトルクと大きなけん引能力を持つ車種があります。日本でも、車種によっては2,500kg前後のけん引に対応するEVがあります。力そのものは、同クラスのガソリン車に劣るとは限りません。

通常走行を100としたとき、重い荷物の満載では航続指数88、トレーラーけん引では50に下がる目安を示したグラフ
図1:積載やけん引による航続距離への影響の目安。重い荷物の満載なら低下は小さめですが、トレーラーけん引では半分ほどまで落ちることがあります。

弱点はけん引で距離が落ちること

EVの弱点は、重い荷物やけん引で航続距離が短くなることです。荷物を満載する程度なら航続低下は1割前後に収まることがありますが、トレーラーをけん引すると半分ほどまで落ちることがあります。

理由は、重さそのものに加えて、トレーラーの空気抵抗が大きいからです。特に高速道路では空気抵抗が急に増えるため、通常走行より電気を大きく消費します。

日常の重い荷物なら問題は小さい

多くの人にとっての「重い荷物」は、家族全員で乗る、買い物の荷物を積む、キャンプ用品を積む、といった日常の範囲です。この程度なら、EVは十分に向いています。

モーターの力強さで発進や坂道に余裕があり、床下に重い電池を積む車では重心が低く安定しやすい面もあります。日常の積載で航続距離が少し落ちても、普段の移動が数十km中心なら大きな問題になりにくいです。

本格的なけん引は計画が必要

キャンピングトレーラー、ボート、ジェットスキーなどを本格的にけん引するなら、車種選びと充電計画が重要です。まず、車のけん引能力が用途に合っているかを確認する必要があります。

次に、けん引時は航続距離が半分ほどになる前提で計画します。通常より頻繁に充電が必要になり、充電スポットによってはトレーラーをつないだまま入りにくいこともあります。事前に充電場所の構造まで確認しておくと安心です。

商用の近距離運搬とは相性がよい

仕事で使う運搬でも、近距離の配送や決まった範囲を毎日走る用途はEVと相性がよいです。営業所で夜間に充電し、日中に決まったルートを走る使い方なら、航続距離を読みやすいからです。

一方で、長距離の大型トラックや重量物輸送では、電池の重さ、充電時間、車両価格、充電インフラが課題になります。商用車は、近距離の配送から順に電動化が進みやすい分野です。

用途で見きわめる

日常の大人数乗車や重い荷物の積載なら、EVは力強く快適です。普段の買い物、旅行用品、キャンプ用品、短距離の運搬であれば、過度に心配する必要はありません。

一方で、長距離でトレーラーを頻繁にけん引するなら、現時点では慎重な検討が必要です。けん引能力、実際の航続距離、充電スポットの入りやすさ、免許や法規を含めて確認してください。

これから改善する領域

けん引や重量運搬の弱点は、電池容量、充電速度、大型車向け充電インフラが改善するほど小さくなります。高出力充電が広がれば、けん引時のこまめな充電も扱いやすくなります。

現時点では「日常の積載は得意、本格けん引は用途を選ぶ」と考えるのが現実的です。技術の進歩で、この境界は少しずつ広がっていきます。

出典と前提

図表の航続への影響は代表的な目安です。荷物の重さ、トレーラーの形と重さ、速度、気温、道路条件で大きく変わります。実際のけん引可否は、車種ごとの取扱説明書、メーカー情報、法規、免許条件を確認してください。

けん引能力や航続低下の考え方はAUTOCAR JAPAN、EVトラックの課題はグリラボ、けん引に向く車選びの一般論は車選びドットコムの解説を参考にしています。

資料の対象地域・車種・時点に注意してご確認ください。

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