この記事の要点

  • この記事の試算条件では、自宅充電のみのEVの走行コストはガソリン車のおよそ半分です。
  • 公共急速充電中心では単価が上がり、ガソリン車より高くなる場合があります。
  • 節約の基本は「普段は自宅、遠出だけ外」の使い分けです。

EVは「燃料代が安い」と言われますが、実際の節約額は充電場所で大きく変わります。自宅で普通充電できる家庭ではガソリン代のおよそ半分に抑えやすい一方、外出先の急速充電ばかりに頼ると単価が上がり、ガソリン車より高くなることもあります。

まず分けて考えたいのは、普段の走行を支える自宅充電と、遠出の途中で使う公共急速充電です。同じEVでも、この比率しだいで家計への効き方はかなり変わります。

自宅充電なら費用を抑えやすい

以下は料金の仕組みを比べるための試算例で、現在の全国平均や特定サービスの料金ではありません。家庭用電力の単価を1kWhあたり31円、EVの電費を6.0km/kWhと置くと、1kmあたりの電気代は約5.2円です。年1万km走っても約5.2万円に収まります。

夜間の電気が安いプランや、自宅の太陽光でつくった電気を使える家庭では、実質的な単価をさらに下げられる場合があります。帰宅後にプラグを挿しておけば朝には充電できるため、給油に寄る時間を減らせる点も日常のメリットです。

公共急速充電は割高になりやすい

一方で、長距離移動の途中に使う公共急速充電は、契約や利用方法によっては自宅充電より割高になります。従量課金で1kWhあたり76円程度と置くと、自宅の約2.4倍です。この単価で日常の充電までまかなうと、EVの安さはかなり薄れます。

外充電には、充電した電力量で払う従量制と、充電時間で払う時間制があります。時間制では、同じ30分でも充電速度の速い車ほど多くの電気を入れられるため、実質単価が下がります。よく使う充電サービスの料金方式と会員プランは、購入前に確認しておくと無駄な出費を避けやすくなります。

年1万kmで比べると差が見える

充電スタイルの違いを年1万kmの走行コストに直すと、差ははっきりします。自宅充電中心のEVは約5.2万円、ガソリン車は約10.3万円、公共急速充電中心のEVは約12.7万円という試算です。

充電スタイル別に見た年1万kmの走行コストを比較した棒グラフ
図1:充電スタイル別に見た年1万kmの走行コスト。EVは電費6.0km/kWh、自宅31円/kWh、公共急速76円/kWh、ガソリン車は燃費15km/L・155円/Lの前提。

つまり、EVの電気代が安いかどうかは「EVだから」ではなく「安い場所で充電できるか」で決まります。自宅充電中心なら年間約5万円の差が出ますが、公共急速中心ではガソリン車を上回る場合があります。

400km・800km・1,200kmのガソリン代とEV電気代

計算式は「走行距離 ÷ 燃費 × ガソリン単価」、EVは「走行距離 ÷ 電費 × 電力単価」です。下表はガソリン155円/L・燃費15km/L、EV電費6km/kWh、自宅31円/kWh、外充電76円/kWhを仮定した比較です。

表は左右にスクロールできます。金額は円未満を四捨五入しています。

走行距離別の費用(試算)
走行距離ガソリン車EV・自宅のみEV・外充電のみ
400km4,133円2,067円5,067円
800km8,267円4,133円10,133円
1,200km12,400円6,200円15,200円
2,000km20,667円10,333円25,333円
10,000km103,333円51,667円126,667円

充電ロス、基本料金・月額会費、駐車料金、購入費、税金、整備費は含みません。充電ロスを見込む場合は、バッテリーに入る電力量より多くの電力を購入します。料金や燃費が変われば結果も変わります。

自分の単価と走行距離で燃料代を比べる

シミュレーターの初期値は、この比較例とは異なります。同じ条件で比べる場合は入力値を揃えてください。

普段は自宅、遠出だけ外が基本

コスト面での最適解は、普段の通勤や買い物は自宅の安い電気でまかない、帰省や旅行などの長距離移動だけ外の急速充電を使うことです。多くの家庭では1日の走行距離は数十km程度に収まるため、夜のうちに自宅で補えます。

自宅に充電設備を置けない場合は、節約効果を慎重に見積もる必要があります。職場充電、近隣の普通充電、月額制の充電サービスなど、日常的に安く基礎充電できる場所があるかを購入前に確認してください。

電気料金プランと車種でも変わる

自宅充電でも、契約している電気料金プランによって単価は変わります。夜間が安いプランに切り替え、タイマー充電で夜に寄せるだけで、走行コストをさらに下げられる場合があります。太陽光発電がある家庭では、余剰電力をEVに回すことで価格変動の影響も受けにくくなります。

車種の電費も重要です。軽EVや小型EVのように1kWhで7〜8km走れる車は走行コストが下がり、大きく重いSUVでは節約幅が縮みます。カタログ値はあくまで目安なので、実際には冷暖房や高速走行を見込んで、少し余裕を持って計算するのが現実的です。

長く乗るほど差は積み上がる

この記事の試算条件で、年1万km・自宅充電のみなら、ガソリン車との差は走行コストだけで年約5万円です。10年続けば、燃料代にあたる費用だけで約50万円の差になります。走る距離が多い家庭ほど、この差は早く大きく効いてきます。

ただし、購入判断では車両価格、補助金、税金、整備費、残価も合わせて見る必要があります。日々の電気代はEVの強みですが、最終的な損得は総保有コストで確認しましょう。

出典と前提

本記事の金額は試算例であり、電力プラン、充電サービス、地域、ガソリン価格、車種の電費で変動します。表とグラフは、本文に明記した比較用の仮定から計算しています。特定の料金プランや現在の全国平均を示すものではありません。実際の購入時には、契約中の電気料金、利用予定の充電サービス、最新のガソリン価格を確認してください。

資料の対象地域・車種・時点に注意してご確認ください。

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